第19回豊丘村リニア対策委員会

更新:2019/07/26


 第19回豊丘村リニア対策委員会が、7月25日夜、豊丘村保健センター2階でありました。

JR東海が行うリニア中央新幹線建設に対して、生じる様々な問題・課題に対し、情報を共有し、対応を検討・協議していくため、村内の各団体から委員を選出し、豊丘村リニア対策委員会を設置ています。 第19回目となる会議を、令和元年7月25日(木)の午後7時より、豊丘村保健センター2階にて開催します。(豊丘村)

式次第

 本山の盛土についての説明が中心で、JR東海は以前の設計でも十分安全だが今回さらにこんな対策をしたというような説明をしました。本山の候補地について、JR東海が「ジンガ洞」という呼び方をしたのは今回が初めてのような気がしました。なお、6月22日の説明会でだされた質問への回答もありました。

 また、中部電力の上佐原に計画中の下伊那変電所(超高圧変電所)の進ちょく状況などの説明もありました。中電のリニアの電源用の高圧送電線は高森町からはっきりと見えるはずで、大西山を袈裟懸けに切る送電線は景観の上で非常に問題があります。しかし、中電はこの点を気にしていないし、高森町も何もいいません。

 これまでの説明会でのJR東海の設計図をみて専門家が設計しているとは思えないといった専門家がいました。工事の管理はどのようにするのかとの河野区の委員からの質問に、たとえばここにいるJR東海の社員は皆土木の専門家であり、JR東海自身が管理する能力があると古谷担当部長が説明しました。質問者は納得したようですが、山口工区の事故や中川村の県道トンネル工事に伴う斜面崩落事故をみれば、JR東海の説明は信用できません。

 村長はあいさつの中で村としては保安林指定の解除について同意する方向でいると説明。会議の最後に、福沢総務課長が村が保安林指定の解除申請について同意をして良いか今回の委員会で決めたいとの意向をのべ、本山地縁団体の長谷川会長が経過説明の後、議長を務める対策員会の会長に促される形で林区の委員長(区長でリニア対策委員)が下流域としては村が保安林指定解除に同意することに異議のない旨発言。結局、村が解除に同意することについて対策員会の理解は得たという結論になりました。

 なお、保安林指定の解除申請に必要なのは本山の場合は地権者である地縁団体の同意のみです。村の同意は解除申請に必須ではなく、下平村長が下流域の同意が必要と表明したから、今回の対策委員会での承認ということになったようです。田村区など、実際には下流域でもこれまでこの件について何も知らされていない地域があります。村は今回の対策委員会への関係地区の住民に傍聴を呼びかけたことで済ましたのです。機会は与えるが、間口は狭くするという行政の基本に沿ったやり方です。

 林区の委員長の発言が、地区住民の意志を正しく代表しているかについては、当地方の最近の風潮から、それはあり得ないといえます。地権者の同意はもはや覆せないとはいっても、約500人の会員のうち同意に賛成は約80で、他は委任状で合わせて約450という決定過程、今回の対策委での承認は、民主主義を標榜する社会の出来事とは思えません。

 大井川の減水問題で南アルプストンネル工事の着工について静岡県が同意しないためJR東海は大変に困っています。『信毎』も小さい記事ですが、一応報道しています。日本でも有数の活断層帯で起きた山口工区の陥没事故は『信毎』もNHKも取り上げています。残土の処分先が確定できないことについては新聞各紙が最近大きく取り上げました。リニアの建設はしょっぱなから非常に困難な局面にさしかかっているといえます。というか、もともと無理・無謀な計画だったことが工事がはじまって日々明らかになりつつあるという状況です。委員からリニアの工事の進み具合について何の質問もなかったことも不思議でした。すべての委員が何らかの役職についているので自動的になってしまった(あて職)ので、本来リニアについて関心はうすいし、別の役職との兼務ですから個人的な意見は言えない。対策委員会の組織の仕方に問題がありますが、このやりかたが普通になってしまっているわけです。

 住民一人一人が身近の問題について関心を持ってものを言うことが大事です。