飯田リニア通信 更新:2020/01/23

長野県とリニア沿線14市町村とJR東海の意見交換会

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 長野県とリニア沿線14市町村とJR東海の意見交換会が、昨年1月から1年ぶりに開かれました。会合は、冒頭のみ(県、市町村代表、JR東海の挨拶まで)公開で行います意見交換会終了後、取材に応じます。 と、長野県建設部リニア整備推進局のホームページに書いてありました。

 「公開」となっているので、しかし、「終了後、取材」とも書いているので、一般県民は傍聴できるのかなと電話で問い合わせてみました。即答はできず聞いてみるということで、折り返しの返事で、傍聴可能ということだったので、傍聴してきました。一般県民と思われる傍聴者は6名ほどいました。

 資料が配布されていたので紹介します。

 (2)の座席表の会場の入り口に近い部分い長机が4脚×4列あります。前3列には「随行」、後ろの1列に「取材」と書いてあります。「傍聴」という席はありません。だから、電話で応対した職員は、上司か担当者に聞いてから返答したのでしょう。実際には、4脚×7列で後ろの2列が取材と傍聴者でした。

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 JR東海は民間企業なので、工事現場について、報道関係者にだけ公開するとしても、安全面など考えれば、あり得ないことではありません。長野県が主催している会議で、理由も示さずに、報道関係者にのみ公開はおかしいといえます。今回も、報道関係のみと忖度したくなるような書き方であっても、原則に従えば、一般県民に対して公開せざるを得なかったのです。しかし、非公開の理由は明示されていないし、参加者の顔ぶれからして、忌憚のない意見交換ができるためは理由になりません。今のタイミングで、公表して困るような具体的な事実もないはずです。もちろん、報道関係に限るという印象を与えるような文言をホームページでもてあそんでいることも大問題だと思います。

 (3)の「リニア中央新幹線 長野県内事業概要図」は長野県リニア整備推進局が作成したものです。下のほうの赤色が目立つ部分は工事の状況を、「未着手(黄色)」、「工事公告中(ピンク)」、「実施中(赤)」に塗り分けたものです。赤は7つですが、松川工区が橋梁を挟んで2つに分けてあるので実際は6つです。そのうち、斜坑を含んでトンネルを実際に掘削しているのは右端の「長野工区」だけ。斜坑ヤードの工事中が、「青木川工区」と「坂島工区」と「(松川)外工区」の3か所、同じ赤でも「戸中・壬生沢工区」と「萩の平・広瀬」工区はまだ何も始まっていません。赤い部分は工区の距離に比例しているので、ずいぶん工事が進んでいると感じる方もいるかも知れませんが、実際はほとんど進んでいないといえます。本坑の先進坑の掘削を開始したのは長野工区の小渋川斜坑だけです。

 この資料は公開のためのものですから、県民にずいぶん工事が進んでいると感じさせるためにこのようなデザインにしたと考えることもできないわけではありません。また、こんな図表を「長野県」の名前で出しているのは良いとは言えません。

 冒頭の、長野県、南信州広域連合(市町村代表)、JR東海のあいさつの中では、静岡工区の膠着状態ついては何も話がありませんでした。報道によれば、非公開の意見交換の中ではいくらか話題になったようです。この会合の発端は、豊丘村の小園で2つの残土置場候補地(約52万立米)が住民の反対で没になったことを受けて始まったものです。今回も中心の話題は残土問題だったようです。報道の見出しはともかく、記事の中身を読むと、970万立米でてくる残土のうち、約21万立米しか確定した処分場所はないという現実は動かせません。

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