審査請求書486通を国交省に提出、5月29日

更新:2018/05/30

 飯田リニアを考える会、No!リニア連絡会が加盟するリニア新幹線沿線住民ネットワークはJR東海のリニア工事実施計画(その2)に対する国交省の認可を取り消す審査請求書の提出を呼びかけていましたが、5月29日に国土交通省に提出しました。リニア新幹線沿線住民ネットワークから報告が届きましたので紹介します。

 長野で集約した数は、総数141、長野県内128、県外13 でした。ご参加くださったすべての皆さんに感謝いたします。『信濃毎日新聞』の5月30日が記事を掲載しています。

PDF
2018.5.29審査請求書提出報告.pdf
2018.5.29リニア工事その2審査請求内訳.pdf

 なお、リニア新幹線沿線住民ネットワークとしての集約は締め切りましたが、審査請求書は個人で国土交通省に郵送で提出できます。認可のあったことを「知った日」から3か月以内で、かつ、認可の「あった日」から1年以内です。つまり、2019年の3月2日まで提出できます。その場合も、提出したことを是非とも私たちの組織に知らせてください。⇒ 審査請求・国交省にリニア工事の認可取り消しを求めましょう


リニア工事実施計画(その2)認可取消し求め審査請求書486通を提出!

「その1の審査は1年半も放置された、審査を急ぐと共に、6ヵ月以内に結論を求める」に、国交省「(その1について)5千人を超える異議申し立ては過去に例が無い。審査はしている。その2については別の者が審査する」。~5月29日、国交省鉄道局環境対策室に提出

 リニア新幹線沿線住民ネットワークが代表して、5月29日午前、天野共同代表ら7人が9つの封筒に収められた審査請求書486通を、国土交通省鉄道局施設部環境対策室の北出徹也室長に提出しました。

 国交大臣は3月2日に、昨年9月25日付でJR東海が提出した「中央新幹線工事実施計画(その2)」を認可しました。これに対し、リニア沿線ネットが中心になってこの認可の取消しを求める審査請求を行うことを提起しました。5,048人が認可の取消しを求めた「工事実施計画(その1)」は非常口やトンネル建設などの土木関係工事でしたが、その2は、変電設備、電気の供給、運行管理など設備面の工事となっています。

 しかし、その1・その2はリニア事業の根幹に関わる問題を共有しており、その2の認可に対する審査請求を行うことには、改めてリニア新幹線の問題点を国民に明らかにする意義があります。

 その2認可の取消しを求める私たちの審査請求の取り組みに対し、沿線各地から審査請求に参加したいという方が相次ぎ、締め切りまでに486人の審査請求書が集まり、この日の提出に至ったものです。

 今回の審査請求書は、沿線の東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知だけでなく、埼玉、京都、大阪、兵庫、和歌山居住者からも寄せられており、請求者の分布は広域に及んでいます。

 なお、審査請求書は「東京」、「川崎・町田」、「相模原」、「山梨」、「静岡」、「長野」、「岐阜」、「愛知」、「近畿」と、それぞれの封筒に表書きをし、封筒には請求者のリストと原本を入れました。受け取った環境対策室長にその場でチェックするのか聞いたところ、「数が多いので持ち帰って内容を確認し、記入漏れなどの不備があれば補正書の提出をお願いする」との返答がありました。(リニア沿線ネット事務局では、2度にわたって原本やコピーに誤記や記入漏れ、印鑑の押し忘れなどを原本とコピーでチェックしましたので、不備は無いと考えています)。また、審査請求書の受領書を出して欲しいと要望しましたが、例が無いとして拒否されました。

 この日の審査請求書提出には、リニア沿線ネット共同代表でストップ・リニア!訴訟事務局の天野捷一、同事務局の橋本良仁、リニア・市民ネット代表の懸樋哲夫、リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会共同代表の矢沢美也、リニア新幹線を考える相模原連絡会の建部由美子、桜井真理、河村妙子の7名が参加しました。(敬称略)

 なお、審査請求書提出後、環境対策室と1時間ほど質疑がありました。裏面(=以下)に概要を記載します。

担当職員を増やして、住民の訴えを迅速に審査すべきではないか

Q 異議申し立ての審査はどうなっているのか。1年半も放置され、一方で自R東海がリニア工事を強行着工したため裁判を提起せざるを得なくなった。裁判にはお金がかかっている。現状を説明してほしい。

A 審査はしている。これまで5千人もの異議申し立ては経験していない。また、私たちもこの審査だけやっているわけではないので・・・」。

Q 行政不服審査法の改定で第三者機関が審査すると聞いているが、その1の審査が終わってからその2の審査に入るのか。

A 第三者機関を設置してやるというのではなく、鉄道局のリニア関係職員だけではなく、無関係の職員を含めて審査に当るということになった。その1が終わってからその2の審査に入るのではなく、その2については別の職員が審査する。

Q 職員が足りないなら増やすようにすべきだ。行政不服審査法は公共事業に対し住民・国民が不服の申立てをすることが法の趣旨であり、沖縄の辺野古埋立中止の知事決定に対し、沖縄防衛施設局が申し立てた決定取消しの申し立てについては、すぐに知事決定を取消す裁決が出された。一方で住民の申立てを遅らせるのでは法の趣旨を逸脱している。6か月以内には裁決を行うべきだ。

工事実施計画(その2)について、環境アセスを行うべきではないか

Q 今回の審査請求書には、リニアルート上の地権者も参加している。相模原の鳥屋車両基地の引き込み線上にも地権者がいる。環境アセスはしていない。小倉変電所や基地内の変電施設についても同様だ。

A アセスはしている。変電所は東京電力の扱いでは。

Q 車両基地内は東電ではなく、JR東海が造るものではないのか。アセスの際は施設の立地場所や規模が曖昧だった。工事規模も大規模になっている。工事計画の変更では済まされない。その2のアセスを求める。電磁波(磁界)の説明は子どもだましだ。高速でリニアが走行すれば1秒間のS極とN極の切り替え回数も多くなる。6Hzしか周波数が無く、磁界はピップエレキバンぐらいのものというJR東海の説明は子どもだましだ。

A 1秒間の切り替え回数について手元に資料が無いのでここでは答えられない。後日回答する。

大深度地下使用許可申請に関する説明会は決定的に周知不足だ

Q 大深度説明会について地権者は知らされていない。JR東海は知らせたくないから知らせないとしか思えない。事前に我々がポスティングしたチラシで知った住民も多かった。東京ではリニア関連の地権者数を公表していない。説明会の進行も我々の質問や疑問に答えていない。

A (東京)世田谷の説明会でのJR東海の対応がちょっとひどかったという話は聞いている。地権者数については調べて後日回答したい。

Q たった2週間で、JR東海の申請書の縦覧、説明会、意見募集を同時並行でやること自体に無理がある。国交大臣意見や、環境大臣意見にある住民理解の徹底とは逆行している。JR東海を指導すべきだ。

A 大深度法の手続き通りやっている。

Q 山梨では県が「リニアでかわるやまなしのすがた」というアニメ冊子を10万部作成し、全校に配布した。リニア推進の冊子であり、負の部分が全く欠落している。愛知ではJR東海がリニア出張授業への学校の応募を募集している。こうしたリニアありきの企画は中止すべきではないか。

A 国交省として指導するとか、そういう立場にはない。 (以上まとめ=リニア沿線ネット事務局)

「中央新幹線工事実施計画(その2)」審査請求書

<沿線各団体別集約数>
団体名集約数団体名集約数
東京26長野141
東京・神奈川31岐阜34
相模原97愛知55
山梨67大阪34
静岡合計486

<地域別申請者数>
都府県名申請者数都府県名申請者数
東京都48愛知県57
神奈川県110大阪府30
山梨県65兵庫県
静岡県京都府
長野県128埼玉県、千葉県、
富山県、和歌山県
(各1)
岐阜県35合計486