南アトンネル掘削開始で、抗議文

更新:2017/04/29

 4月27日にJR東海は、大鹿村釜沢の除山斜坑口ヤード内で斜坑の掘削を始めました。上蔵にある小渋川斜坑口については工事ヤードの整備も完了し、保安林指定解除を待つ状態になっています。トンネル残土の3日分のストックヤード、コンクリートプラント、現場事務所そのほかトンネル掘削に必要な施設が整えられています。一方、除山斜坑口については工事ヤードの整備が始まったばかりの状態でした。報道によれば、実際に行われた作業は小型のバックフォーで山の斜面を直接掘るやり方だったそうです。山梨県の早川町で進められている掘削とはかなり様子が違うもののようです。

 新聞各紙は県内初のトンネル掘削、最難関の掘削がはじまった、南アルプストンネルの掘削開始というような見出しです。極め付けは、NHKのニュース。聞いただけでは、整備の終わった、小渋川斜坑口で本格的な掘削が始まったとの誤解を与えるような内容でした(参考)。ところが、工事よる騒音など直接被害を受ける釜沢の住民の方によると、事前の連絡は、いわれてみればあるにはあった程度のものだったとのこと。住民への連絡が不十分な点は問題です。

 リニア計画の実際の工事計画は全般に遅れが目立ってきています。JR東海側のややドタバタした感のある今回のことについて、工事進ちょくの遅れに苛立った「上」の方が「下」のほうに「なんでもいいからやって辻褄をあわせろ」みたいなことを言ったのではないかとの憶測もできます。

 除山での掘削作業開始について、「大鹿リニアを止める実行委員会」が抗議文を出したので以下に掲載します。

南アルプストンネル掘削抗議文2017.4.28.pdf
(1枚の用紙で印刷できるよう表題下の空行1行を削除したうえでPDFに変換しました)


抗議文

2017年4月28日

大鹿リニアを止める実行委員会

TEL0265-39-2067

 昨日4月27日、JR東海はリニア中央新幹線、南アルプストンネルの除山非常口からの掘削を開始したと発表した。長野県側からの南アルプストンネルトンネルの掘削ははじめてとなる。私たちは今回の掘削開始に強く抗議する。

 第一にJR東海は卑怯だ。

掘削開始は当日や前日に、大鹿村や地元自治会、一部メディアに知らされた。なるべく騒がれないようにこそこそと掘削開始をすませようと思ったのは明らかだ。これが国から建設指示を受け、3兆円もの公的資金の借り入れを受けた企業のすることだろうか。恥を知るべきだ。

 第二にJR東海は迷惑だ。

住民は工事車両の増加や工事の音に日夜不安を感じている。これからの生活がどうなるのか神経質になっているにもかかわらず、その変化が何に起因するのか十分に知らされなければ、不安は増幅するばかりだ。企業への不信感は高まりこそすれ解消されることはない。今まで同様、今回の掘削開始のやり方もまた、住民には迷惑、JR東海にとってもマイナスだ。

 第三にJR東海は南アルプスの自然破壊について軽く考えている。

地元にすら直前に知らせればすむという姿勢そのものがその証拠だ。南アルプスは国立公園であり、私たちみんなの共有財産である。本来なら国民投票をしてもおかしくない事柄を、一部の人間の間だけで進めてきたのがリニア事業の本質だ。もとより多くの人々に望まれたものでも、承認を受けたものでもない。元来不必要なものだからだ。

 そして今回の掘削表明はリニア事業の成果ではなく限界を示している。

国家的プロジェクトに対して、JR東海は沿線各地で反発を受けている。大鹿村でも抗議アピールを受け、11月の起工式では社長と県知事が会場に据え置かれる醜態を演じた。着工は予定より1年、掘削開始はさらにそれから半年がかかっている。先行するはずの小渋川非常口の掘削は保安林解除への異議によって進まない。掘削を公表できなかったのも、坑口以外の工事の遅れがをばらされたくなかったにほかならない。本来なら誇るべき難工事の開始を、もはや公にアピールすらできない事態に陥っている。もともと杜撰な計画かつ、JR東海が公益事業を担うべき素質のない企業だからだ。

 私たちは、JR東海に南アルプストンネルの掘削の即時中止を求める。同時に、国や自治体が、JR東海への公的支援を取りやめることを求める。JR東海にそんな資格はなかったし、2027年の開業予定など無理だったのだ。傷の浅いうちに本事業から手を引くのが住民の生活や環境を担う立場の人々の賢明な判断だ。