飯田リニア通信 更新:2021/12/05

第21回口頭弁論後報告集会・長野からの報告

 ストップ・リニア!訴訟第21回口頭弁論が12月2日に東京地裁で行われました。弁論の様子については、原告団から報告があると思います。裁判後の報告集会で地域の状況を報告しました。以下のような内容です。

 長野県でリニアの通過するのは伊那谷と木曽谷の南部の地域になります。リニアの工事は進んでいるような印象を与えるニュースも流されているのですが、工事の各段階の開始は1年半~3年程度遅れているし、例えば南アルプストンネルの掘削のペースはJR東海の当初の予想の三分の二程度です。難航が予想されたとおり、すでに4回、3か月間ほぼ掘削が停滞することがあり、昨年は現場に至る道路の地滑り被害などで半年工事が中断したこともありました。県内の工事状況からは開業は2034年以後になるのは確実です。さらに、静岡県の問題があるのに、市町村長たちは、JR東海は他地域の工事のペースは緩めないといっているから、リニア関連事業は予定どうり進めるといまだにいっています。

 そんな中、8月下旬に行われた世論調査によれば、リニアに期待するが約3割、一方期待しないが約7割でした。昨年秋から中間駅周辺の住民と大鹿村のリニアに反対する住民の交流会が大規模な残土処分場ができる豊丘村の住民なども含め繰り返し行われています。当地域でも約60~80mの地下をシールド工法で工事をするトンネル区間があり、住民の間に不安が生じ始めています。

 「飯田リニアを考える会」は8月に地域連合の連合長も兼任する飯田市長に対して「リニア計画に関連して要望書」を提出しました。『中日新聞』が取り上げてくれました。お手元の資料の一番最後の1枚です。今のところ反応はありませんが、リニア計画の頓挫も視野に入れるべきこと、市内の残土置場の中止、静岡の着工まで当面は用地交渉の中止などを求めています。要望の背景の説明はやや長文ですがぜひお読み下さい。

 長野県内のリニア計画や工事の進み具合、市町村別の状況、残土処分の状況などは、お手元の資料にまとめました。残土についてはJR東海は9割の処分先の見込みがあるといっていますが、確実なところは三分の一程度です。造成が済んでいないガイドウェイ組立ヤードに、夏ごろから部品が野積みされており、土木工事と工場生産との歩調がずれ始めたのかなと思います。